熱中症と水中毒 – 両国駅前内科・透析クリニックブログ
記事作成日:

熱中症と水中毒

木村 庄吾 院長

腎臓内科専門医、透析専門医、腎移植認定医であり、両国駅前内科・透析クリニックの院長である木村医師のブログです。

おはようございます。

両国駅前内科・透析クリニックの木村です。暑さのピークが過ぎても残暑が厳しい季節。暑くなりそうな日は、熱中症対策を万全にしておきたいものです。具体的な熱中症対策としては、塩分や水分の摂取が推奨されますが、両方とも過度な摂取には気を付けましょう。塩分が多すぎることで引き起こされる中毒(食塩中毒)がある一方で、塩分が少なすぎることで起こる中毒もあります。それが、「水中毒」です。今回は「水中毒」について紹介します。症状がほとんど同じで、区別することが困難です。まずは知っておくことが大事です。

水中毒は、水分を大量に摂取することで血液中のナトリウム濃度(塩分の濃度)が低下し、「低ナトリウム血症」という状態に陥ってしまい、場合によっては命の危険にさらされます。
主な症状としては、めまいや頭痛、多尿・頻尿、下痢などがあげられます。悪化すると吐き気や嘔吐、錯乱、意識障害、性格変化、呼吸困難などの症状が現れ、死に至る場合もあります。
海外では、低ナトリウム血症による死亡事故が報告されており、水の飲み過ぎが原因と診断されています。このほか、いかに多くの水を飲めるかを競う競技で7.5Lの水を飲んだ女性が死亡したという事例や、フットボールの練習中14Lの水分を摂取した男性が死亡した事例が確認されています。報道でにわかに注目されつつあり、ごく稀にしか起こらない事故とは限らないのです。

私たちが生きていくために欠かすことのできない「水」。人間には1日に2.5Lの水分が必要といわれていますが、普通に生活しているだけでも、1日2.5Lもの水分が失われているそうです。年齢や性別、体格などの個人差はありますが、食事中の水分や体内でつくられる水の量は1.3Lで、排出した水分を補うためには、新たに1.2Lの水分を摂取する必要があります。厚生労働省が奨励している「健康のために水を飲もう」推進運動の中では、平均的にコップの水をあと2杯飲めば、1日に必要な水の量を概ね確保できるとのこと。暑い日や激しい運動をする場合などはしっかりと水分補給する必要がありますが、決められた量の水を無理に飲み続けることは避け、喉の渇きに応じて、適宜水分を補給することを心がければ、過剰な摂取にもならず、過度の脱水も防ぐことができます。

最近ドラッグストアなどで見かける経口補水液は、脱水症状だけでなく水中毒の対策としても薦められています。人間の体液に近い成分で作られた経口補水液には、塩分や糖分が含まれています。ナトリウム濃度はスポーツドリンクの2倍~4倍ほどであるため、水分だけでなく十分な量のナトリウムを摂取することができます。
ちなみに、経口補水液は自宅でも簡単に作ることができます。水1Lに対して塩3g、砂糖40gを加え、よく混ぜれば完成です。ただ、正直なところ、あまりおいしいとはいえません。これは体内のナトリウム濃度が影響しており、脱水症状が進むことで、ようやくおいしく感じるようになるという特徴があるからです。
経口補水液が飲みづらい場合は、レモンやグレープフルーツの果汁をプラスしてみてください。1Lの経口補水液に対して大さじ2杯~4杯の果汁を加えるだけなので簡単です。また、砂糖をハチミツに替えても、飲みやすくなりますので、お試しください。

カテゴリー別 記事一覧